警備業務には色々な仕事が含まれていますので、まずは警備業務の全体像を知っておく必要があります。警備業務は非常に細分化されていて、第1号から第4号と呼ばれる区分があり、それぞれ第1号警備業務は施設警備業務、第2号警備業務は雑踏警備業務・交通誘導警備業務、そして第3号警備業務は貴重品運搬業務、第4号警備業務は身辺警護業務とされています。
そもそも、第2号警備とは、交通誘導警備や雑踏警備を総称した区分のことで、主に、人間を警護対象とする業務の内、第2号業務の特徴は、不特定多数の人の動きをコントロールするということ。第2号業務は、警備業法の中で、人や車両などで混雑する場所や交通上の危険が伴う場所で、事故によるケガなどが発生しないように警備する業務。交通誘導や催事警備、道路規制時の警備なども第2号業務に含まれます。この第2号業務をさらに細分化すると、主に、交通誘導警備業務と雑踏警備業務に分けられます。これらの業務に就く人を警備員といいますが、一般的に、第二号警備業務の交通誘導警備業務に携わる人を、交通誘導員または、誘導員と呼びます。
警備員とは、警備業法の定義に該当する警備業務を実際に行う者のこと。事業体として実際に警備を行うもの以外は、警備業者といいます。専門に警備業を行う警備会社の場合は、経理などの本職の事務職員を除くと、元警備員としての経験を有しているのがほとんどで、在職中は警備員としての資格要件を満たすように維持されなければいけませんし、必要時には警備員を兼ねることができるのというのが一般的です。
警備業務検定とは、警備業法で定められている3つの国家資格の内の1つ。国家資格には、計画に基づき警備員を指導できる「警備員指導教育責任者」と、機械警備への高い専門知識を有する「機械警備業務管理者」、個別の警備分野に対する専門知識とスキルを保証する「警備業務検定」があります。警備業務検定は分野ごとに6種類に分かれていて、それぞれ「施設警備業務」「交通誘導警備業務」「雑踏警備業務」「貴重品運搬警備業務」「核燃料物質等危険物運搬警備業務」「空港保安警備業務」です。等級には2級と1級があり、2級では現場でのリーダーとしての役割が期待されます。そして1級では、2級の能力に加えて、警備計画書の作成や顧客との交渉、教育責任者へのアドバイスなど、管理者としての役割が強く求められます。
警備会社では、営業所や警備業務区分ごとに、警備についての基本的な知識と専門の技能を持つ専門家を選任して管轄の公安委員会に届け出る必要があります。この専門家のことを警備員指導教育責任者といいます。原則的に、各営業所に最低でも1人の警備員指導教育責任者を配置しなければいけませんので、警備業界においては非常に需要のあるポジションといえます。この仕事に就くためには、警備員指導教育責任者の国家資格を取得することが必要で、仕事内容は、警備会社に所属する警備員に対する教育や指導、現場管理、管制業務などが中心です。警備に関する専門性の高い知識と技能を生かせる警備員指導教育責任者は、営業所における中心的な役割を担っていますので、責任を求められる仕事といえます。
機械警備業務管理者は、警備員指導教育責任者と共に制度化された、機械警備会社を経営するために必要な資格です。機械警備の高度な専門的知識や業務管理能力を持ち、指揮司令業務、及び、機械装置の運用や維持管理、書類作成、隊員の教育指導まで行うことができます。機械警備会社は、警備業法上、基地局ごとに有資格者の中から必ず1名を「機械警備業務管理者」として選任しなければいけません。無人セキュリティー装置が発報した際に、適切な判断・スピーディーな行動が求められる機械警備は、場合によっては、警察や消防とも連携を取る必要もあるため、業務の監督・管理・指導が出来る人物が必要不可欠。そのため、「機械警備業務管理者」の資格を持っているということは、その重要なポストに選任されるだけの知識や能力があるみなされます。一見すると、警備員指導教育責任者と業務内容が似ていると思われますが、警備員指導教育責任者と機械警備業務管理者との兼任は認められておらず、機械警備会社ではそれぞれの有資格者が必要になるのです。
ビルやショッピングセンターなどの施設への常駐・巡回による危機管理やトラブル対応が求められます。また、出入管理や屋内消火栓操作、警戒棒操作などのスキルが必要です。施設警備業務検定1級を取得するためは、その前に施設警備業務検定2級を取得していることが条件で、かつ、施設警備業務検定2級取得後、1年以上の実務経験が必要です。施設警備業務検定2級を取得することができるのは、年齢が18歳以上であることと、30時間以上の警備員新任教育を受けることという条件があります。2級を取得するには、公安委員会が実施している試験を直接受ける方法と、指定された機関の特別講習を修了する方法の二つがあります。
イベントや工事現場などの不特定多数の人が集まる場所で、誘導・事故防止に努めます。群衆の整列規制や緊急車両の誘導路確保、拡声器・旗による誘導などのスキルが必要です。交通誘導警備には、交通誘導警備業務に係わる2級検定があり、高速道路で使えるものと、一般道路で使えるものの2種類があります。2級を受検する条件は特にありませんが、1級を受検するためには、2級を取得してから1年以上の実務経験を積む必要があります。2級を取得するには、公安委員会が実施している試験を直接受ける方法と、指定された機関の特別講習を修了する方法の二つがあります。
交通誘導警備業務と同様、イベントや工事現場などの不特定多数の人が集まる場所で、誘導・事故防止に努めます。群衆の整列規制や緊急車両の誘導路確保、拡声器・旗による誘導などのスキルが必要です。雑踏警備は、イベント警備・催事警備・イベント誘導などという呼び方もされています。雑踏警備業務検定には1級と2級があり、どちらも、雑踏警備の現場で負傷者が出る事故を警戒・防止するために必要な知識や技能があることを証明する資格。2級を取得するには、公安委員会が実施している試験を直接受ける方法と、指定された機関の特別講習を修了する方法の二つがあります。
対象の物品を盗難や損傷から守るため、リスクの先読みスキルが必要です。貴重品の積み卸しや、無線機使用の技術が求められます。貴重品運搬車両には、必ず1名の資格保持者の配置が義務付けられていますので、貴重品運搬警備業務検定2級は欠かせない人材です。2級を取得するには、公安委員会が実施している試験を直接受ける方法と、指定された機関の特別講習を修了する方法の二つがあります。
テロ対策を見据えた業務で、危機管理だけでなく、関係機関との迅速で確実な連携が重要です。核燃料輸送警備2級の試験は、学科試験と実技試験で構成されています。学科試験では、警備業務の基本的な事項や法令に関すること、核物質の知識や仕組み、核物資の規制や運搬に関する法律、盗難が起こった際の緊急時の行動、車両や見張りに関することなどが出題されます。実技試験では、車両点検や見張り、運搬中の連絡、放射量測定用機械の点検や修理、操作などのほか、護身、避難誘導について問われます。2級を取得するには、公安委員会が実施している試験を直接受ける方法と、指定された機関の特別講習を修了する方法の二つがあります。
核燃料物質等危険物運搬警備業務と同様、テロ対策を見据えた業務で、危機管理だけでなく、関係機関との迅速で確実な連携が重要です。法令では、エックス線透視装置が設置されている現場においては、空港保安警備業務検定の1級もしくは2級を持っている警備員を1人以上配置することが義務付けられています。2級を取得するには、公安委員会が実施している試験を直接受ける方法と、指定された機関の特別講習を修了する方法の二つがあります。
警備業務検定の難易度は、ある程度の知識・技術を必要とするレベルです。下記に合格率をまとめました。
▼表は横にスクロールすることができます。
【施設警備業務】
級 | 実施回数 | 受講者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
1級 | 219 | 11,767 | 7,346 | 62.4% |
2級 | 1,078 | 65,566 | 41,091 | 62.7% |
【交通誘導警備業務】
級 | 実施回数 | 受講者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
1級 | 105 | 4,534 | 2,720 | 60.0% |
2級 | 1,601 | 103,186 | 60,493 | 58.6% |
【雑踏警備業務】
級 | 実施回数 | 受講者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
1級 | 187 | 8,880 | 6,138 | 69.1% |
2級 | 785 | 47,661 | 32,912 | 69.1% |
【貴重品運搬警備業務】
級 | 実施回数 | 受講者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
1級 | 53 | 2,818 | 2,343 | 83.1% |
2級 | 497 | 31,757 | 22,248 | 70.1% |
【核燃料物質等危険物運搬警備業務】
級 | 実施回数 | 受講者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
1級 | 12 | 198 | 151 | 76.3% |
2級 | 13 | 587 | 376 | 64.1% |
引用元:JQOS.jp(https://jqos.jp/kokka/keibigyomukentei#p08)
引用元(JQOS.jp(https://jqos.jp/kokka/keibigyomukentei#p08))には、空港保安警備業務の合格率についての記載はありませんでした。
警備員の平均年収は284万円ですが、一口に警備員といっても、1号から4号警備があり、役職によっても年収は大きく異なります。資格を取得して管理職になると、年収500万円以上も目指せます。目安としては、月300時間の勤務でおよそ年収300万円です。
アルバイトでの警備員はほとんどの場合日給制で、正社員と比べると待遇に差があります。ですが、アルバイトは出勤時間や曜日の融通がきき、日払いを行っている警備会社もありますので、色々な面で融通がきくという部分もあります。アルバイト警備員の相場は、日給7000円から9000円程度。直行直帰の会社も多いので、さらに交通費が支給されるケースもあります。
警備員の給料は、雇用形態によって大きく異なります。正社員であれば年収340万円程度ですが、人材派遣会社から派遣されている警備員の場合は、年収はだいたい300万円ぐらいでしょう。また、警備会社によっては階級制度で収入に差をつけているところもあります。階級が「一般警備」であれば年収230万円以上、「副隊長警備」であれば年収250万円以上、「隊長警備」であれば年収300万円以上で、管理職の場合は年収340万円以上を望めるでしょう。さらに、アルバイトや派遣の場合は、労働時間を増やすしか収入を上げる手段はありませんが、正社員であれば、資格の取得を目指してみるのがおすすめ。国家資格である警備業務検定や、警備員指導教育責任者資格などを取得すると、キャリアアップとともに、収入アップが期待できます。階級制度がある会社であれば、階級を上げることで昇給する仕組みがありますし、資格を取得することで業務の幅が広がりますので、より高度な仕事にチャレンジすることもできます。
賞与は年3回(※1)!
離職率16.6%(※2)の警備会社
交通誘導員の仕事内容をよりリアルに伝えるため、今回交通誘導員の仕事を扱っている会社「アクティサポート」に監修していただきました。アクティサポートは、交通誘導員の仕事を扱う会社の中でも、16.6%(※2)と離職率が低く、賞与も年3回(※1)出すなど、働きやすさや待遇の良さが特徴の会社。交通誘導員の仕事のリアルについて、詳しくお話しをお聞きした内容をサイト内でたっぷりご紹介していきます。