交通誘導員の単価とは?

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交通誘導員として働こうと考えているとき、給与は気になることのひとつでしょう。給与については、「労務単価」という考えも知っておきたい知識です。雇用側の視点を知ることで、責任感や、やりがいを感じながら働けます。ここでは、交通誘導員の「労務単価」について解説します。

交通誘導員の労務単価とは

交通誘導員の労務単価とは、公共事業における建設労働者の賃金単価です。ただし、交通誘導員が受け取る報酬のことではありません。交通誘導員を雇う側が支払う費用のことです。

労務単価は、所定労働時間内8時間当たりの単価として設定します。所定労働時間外の労働に対する割増賃金や下請企業の現場管理費・研修訓練等の費用、一般管理費等の経費は含みません。

労務単価を把握することで、警備員を依頼する際のコストの予想ができ、見積もりの比較もできるようになります。交通誘導員として働きたい人にとっては、労務単価の変化を見ることで、ニーズや給与水準を捉えることも可能です。働く上であまり目にする機会のない数字ではありますが、頭の片隅においておくといいでしょう。

交通誘導A・Bで異なる

交通誘導員には、「交通誘導警備員A」と「交通誘導警備員B」という2種類があります。交通誘導警備員Aは、交通誘導業務検定1級もしくは2級の資格を有している警備員のことです。「検定合格警備員A」と呼ばれています。

交通誘導警備員Bは、資格を取得していない警備員のことです。交通誘導業務には、必ずしも資格が必要というわけではありません。ただし、特定の現場においては資格取得者を配置することが義務付けられているケースもあるため、警備員を資格の有無で区別する必要があります。

交通誘導警備員AとBでは、労務単価が異なります。当然ながら、交通誘導警備員Aのほうが単価は高いです。

令和6年の交通誘導員の労務単価

国土交通省は、毎年公共工事における労務単価を見直しており、令和6年(2024年)3月からの労務単価が発表されました。交通誘導警備員Aの全国平均労務単価は16,961円、交通誘導警備員Bは14,909円と、前年に比べてそれぞれ6.4%、7.7%の引き上げが行われています。これは交通誘導員としての専門性と重要性が増す中で、労働環境の改善や人材確保のために賃金水準を引き上げる必要があるためです。

この単価設定は、建設業界や警備業界の人材不足が深刻化していること、さらに法定福利費や安全管理費などが高騰している背景から実施されています。

地域別の交通誘導員労務単価の差異

労務単価は地域によって異なります。地域ごとの経済状況や需要と供給のバランス、物価水準などが反映されるため、都道府県ごとに細かく設定されています。たとえば、東京都では交通誘導警備員Aの労務単価が19,000円、愛知県では19,700円、大阪府では16,200円と、地域ごとに大きな差が見られます。一方で、沖縄県のように14,600円と全国平均を下回るエリアもあります。

この地域差を把握することで、求人選びや現場のコスト予測、さらには見積もりの比較が可能になります。交通誘導員として働く方にとっても、地域ごとの単価の違いは収入に直結するため、注意しておきたいポイントです。

参照: 国土交通省「令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について」

労務単価の推移とその背景

交通誘導員の労務単価は年々引き上げられており、ここ12年間連続して増加しています。令和6年の全職種の加重平均労務単価は23,600円で、前年から5.9%の増加が見られました。この増加の背景には、以下の要因が挙げられます。

  • 人材確保と処遇改善:人手不足が深刻化する中、交通誘導員のような現場業務において人材確保が課題となっており、労務単価の上昇が進められています。
  • 労働環境改善:建設業界における時間外労働の上限規制(令和6年4月施行)に対応するため、賃金水準の向上が求められています。
  • 物価高騰:法定福利費や各種経費が高騰しているため、雇用側における費用負担が増大しており、これが労務単価の上昇に反映されています。

労務単価の推移を理解することで、業界全体の賃金動向や将来の見通しについても把握できるようになります。

労務単価に含まれる費用項目の詳細

交通誘導員の労務単価には、所定労働時間8時間当たりの賃金が設定されていますが、その内容には注意が必要です。労務単価には以下の費用が含まれています。

  • 基準賃金:基本的な賃金のみが含まれており、時間外、休日、深夜労働に対する割増賃金は含まれていません。
  • 特別手当の除外:職種の通常の作業条件を超えた作業に対する特別手当も労務単価には含まれていません。
  • 諸経費の未包括:法定福利費、安全管理費、教育訓練費など、雇用側が負担する必要経費や管理費用も含まれていません。

これらの項目は、現場での実際の経費に応じて追加で発生するため、見積もりや実際の支払い時に考慮する必要があります。

労務単価の適用範囲と注意点

労務単価は公共工事の積算基準として活用されますが、全ての現場や契約に適用されるわけではありません。特に、労務単価は工事費積算の基準値であって、下請契約や個別の雇用契約において労働者に必ず支払われる金額を示すものではありません。また、労務単価には必要経費が含まれていないため、見積もりの際には必ず別途計上する必要があります。

警備会社が下請契約において労務単価を適用する場合には、法的な規定や経費の取り扱いに基づいて適切に計上することが求められ、必要経費の不足や見積もりからの値引きは不当行為とされています。

警備費用の内訳

警備費用の内訳を確認しておきましょう。警備費用は、警備員の給料だけではありません。「人件費」「福利厚生費」「必要経費」があります。

人件費は、交通誘導警備員の人件費、つまり給料のことです。人件費は警備費用の6割程度を占めています。

福利厚生費は、労災保険や雇用保険、健康保険等の各種保険料です。警備費用の2割強くらいになっています。

そして、必要経費は、安全管理費や送迎日、装備費などです。警備費用全体の2割弱程度を占めています。

内訳の割合は警備会社によっても差があります。時期や時間帯、曜日によって相場より高くなることも少なくありません。一般的には、昼より夜の警備のほうが、警備料金は高くなる傾向があります。

労務単価の今後の見通しと業界の動向

労務単価は今後も増加傾向が予想されていますが、これは単に人件費が上がるというだけでなく、警備業界と建設業界の両方に深い影響を与えるものです。以下の要因が今後の労務単価や業界の動向に影響を与える可能性があります。

  • 人口減少と人手不足の深刻化:高齢化と若年層の減少により、交通誘導員などの現場作業を担う人材の確保が難しくなると予測されています。そのため、今後も労務単価は上昇し、待遇改善がさらに進む可能性が高いです。
  • デジタル化とAIの導入:近年、AIカメラや自動化技術を用いた交通管理システムの導入が進んでおり、これが一部の現場で交通誘導員の業務を補完・代替することが期待されています。ただし、完全な置き換えが難しい場面も多く、人手とテクノロジーが協調して業務を行う形が主流になる見込みです。
  • 安全基準や規制の強化:業界全体で労働環境や安全基準の強化が進む中で、研修や装備費用などの経費も増加傾向にあります。こうした規制強化に伴うコストが労務単価に反映される可能性も高く、警備業務全体の費用は引き続き増加すると予想されます。
  • グリーンインフラへの転換:全国で進む脱炭素社会への移行に伴い、都市開発や交通インフラの整備において、環境に配慮した「グリーンインフラ」が推進されています。こうした新しいインフラ整備事業の増加により、交通誘導員の需要も増加し、単価上昇にも影響する可能性があります。

労務単価の活用方法

労務単価は、交通誘導員の採用や現場でのコスト管理に活用できる重要な指標です。労務単価の変動を定期的に確認し、地域差や労務単価の推移、適用範囲を理解しておくことで、より正確なコスト予測が可能となります。また、公共工事に限らず、民間工事においても参考値として活用されることが多く、業界全体の人材確保や健全な成長を促進するために重要な要素となっています。

交通誘導員として働く方も、雇用者側も、単価の背景や内訳を理解し、相互の納得のいく形での契約と給与設定が行えるよう努めることが求められます。今後も国土交通省の公表する労務単価情報を活用しながら、業界の現状を理解し、より良い労働環境を築いていくための参考にしてください。

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引用元:アクティサポートHP https://www.saiyo-actysupport.com/

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