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ここでは、交通誘導と交通整理の違いを具体的に解説します。
多くの方が混同している交通誘導と交通整理。両者は同じような仕事と思っている方が多いかもしれませんが、実際にはかなり違います。違いを詳しく確認していきましょう。
交通誘導は警備員が警備業法に定める警備業務の一環として行う業務のひとつです。警備業法第15条に定めがあるように、警備員に特別な権限が与えられているわけではないため、交通誘導にも法的な強制力はありません。あくまでも通行するドライバーや歩行者に協力をお願いするという性格をもっています。
一方の交通整理は道路交通法第6条「警察官等の交通規制」に根拠をもっており、警察官または交通巡視員によって行われる強制力を伴う行為です。つまり、交通整理は公権力の行使であり命令であることから、車両のドライバー等には交通整理にしたがう義務が生じます。
交通誘導が行われる現場は、建築現場の車両出入り口付近や道路工事現場の周辺、街路樹の整備現場などがよく知られている場所です。これに対し、信号機が故障した交差点や、通行が著しく停滞し交通が著しく混雑するおそれのある現場、さらに火災や道路の損壊などによって交通の危険が生じかねない道路などで交通整理が行われます。
交通の安全を目的として実施されている点は交通誘導も交通整理も同様といえますが、対応するケースが異なっている点が官と民の大きな違いです。
交通誘導の仕事内容や法的な扱いについて見てみましょう。
交通誘導を行っている人は、民間の警備会社に所属する警備員です。安全・円滑に交通誘導を行うため、必要な研修・講習などを受講したうえで、交通誘導員として働きます。
交通誘導員になるために必要な資格はありませんが、高速道路や国道などの重要な道路で交通誘導を行う際には、現場ごとに1名以上の有資格者を配置しなければなりません(交通誘導警備業務検定1級、または2級)。
警備員が職務として交通誘導員の業務を行うとき、とくに気を付けなければならない点に法的な権限の有無があります。民間人である警備員には特別や権限が与えられているわけではありません。交通誘導員として業務に当たるときも同様です。この点が警察官や交通巡視員による交通整理との大きな違いであり、通行する車両や歩行者に対して拘束力や強制力をもっていないことを理解して言動に気を付ける必要があります。
強制力も拘束力ももっていないとはいえ、多くのドライバーは交通誘導員の合図を頼りに運転しているのも事実です。そのため、事故が起きたときは「交通誘導が悪いからだ」といったトラブルになりかねません。ドライバーが誘導を無視して突っ込んだような場合はともかく、交通誘導は安全を確保するために行うものであり、事故が起きてしまえば完全な業務とはいえなくなってしまいます。
また、交通誘導員の合図が曖昧だったために事故につながるケースや、誤った合図によって事故に至るケースがないとはいえません。事故には至らないとしても、不完全な合図は交通誘導の目的に合致しないものであり、注意して業務に当たる必要があります。
交通誘導員が法的な権限をもっていないことにより、ドライバーの協力を得ることが難しい場面があるかもしれません。しかし、交通誘導員の責務として丁寧に協力をお願いする必要があります。ほとんどのドライバーは交通誘導員に法的権限があるかないかに関係なく、合図にしたがってくれるでしょう。しかし、中には交通誘導員の合図が気に入らないと食って掛かるドライバーもいます。たとえドライバーの態度が悪かったとしても、感情的にならないように注意することが重要です。協力に対する感謝を忘れないようにしましょう。
交通誘導を行う現場には、主に次の4つがあります。
道路工事のため片側通行が必要となった現場において、上りと下りの車両が交互に通行するよう誘導します。または、道路工事で通行止めとなった現場において、車両のドライバーに迂回するよう案内します。工事車両の現場への誘導を行うこともあります。
建築工事現場の周辺において、一般車両や歩行者などが安全に通行できるよう誘導します。また、工事車両の現場への誘導を行ったり、工事現場の敷地内で車両の誘導を行ったりすることもあります。
大型ショッピングモールや人気レストランなどの駐車場周辺で、お客さんや車両、一般歩行者などの誘導を行います。
コンサート、お祭り、花火大会など、人が多く集まるイベント会場の周辺で、歩行者や車両が安全に通行できるよう誘導します。
上記のような場所で、交通誘導棒や旗などを手に持ち、一般車両や歩行者、工事車両に合図を出して誘導を行います。
一般に、交通誘導員が正面を向いて棒を横向き(道路に平行)にした場合、「止まってください」という合図となります。また、交通誘導員が正面から離れて棒をくるくる回した場合、「通ってください」という合図となります。
なお、多くの現場では交通誘導員が2名以上配置され、それぞれ無線で連絡を取り合いながら誘導業務を行っています。
口述する交通整理とは異なり、交通誘導には法的な拘束力がありません。あくまでも「警備員からの協力要請」という形となります。
ただし、法的拘束力のない協力要請とは言っても、その要請を無視した場合、自分はもちろんのこと多くの第三者を巻き込んだ大事故に発展する可能性があります。そのため、一般的には「警備員からの協力要請には従うべきもの」という認識が浸透しています。
交通誘導員と信号の合図が異なる場合、どちらにしたがうのが正しいか? この答えは、信号機の合図を守ることになります。
理由は明確で、交通誘導員は民間人だからです。民間の警備会社に属する警備員が業務として行っている交通誘導には信号機の指示を覆す法的な拘束力、強制力がありません。そもそも警備員について規定する警備業法の第15条では次のように定めています。
「警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」
この規定は、警備業者や警備員に特別な権限があるかのように誤解や、越権行為を防ぐために設けられているものです。したがって、赤信号のときに警備員が進行の合図をしたからといって、停止しないで通行すれば信号無視となってしまいます。警備員が合図したからといっても違反がなかったことにはなりませんし、事故を起こしていれば責任が生じます。
交通誘導員の仕事を行う上でスキルアップを目指す際には、資格を取得するという方法が考えられます。この時におすすめの資格としては、「交通誘導警備」という資格があります。交通誘導の仕事に就くためには必ずこの仕事を持っていなくても問題ありませんが、この資格を持っていると就職に有利になることもあります。
これは、高速道路や国道などの一般道で交通誘導の業務を行う、という場合には、警備会社に対し「交通誘導警備検定2球以上の資格を持った警備員を配置する」という義務が課せられているため。警備会社としては、交通誘導警備検定の資格を持っているスタッフが在籍していることで仕事を増やせるという理由から、特に正社員として警備会社で働く場合には資格の取得が推奨されるケースが多くなります。
以上のことから、交通誘導の仕事を行っている方、これから交通誘導の仕事をしたいと考えている方は取得を目指してみてはいかがでしょうか。
交通誘導警備の資格には、1級と2級の2つの種類がありますが、注意しておきたいのが「高速道路で使用できる資格」と「一般道路などで使用できる資格」の2つがある、という点です。
交通誘導警備資格を取得したいと考える場合には、まずは2級を取得して1年間の実務経験を積み、1級の取得を目指すという方法が一般的です。これは2級を取得する際には特に実務経験はありませんが、1級を取得する場合には1年間の実務経験が要件となっているためです。
取得するためには下記の2つの方法があります。
①特別講習を受講する
②公安委員会が実施している検定を直接受験する
①の場合は、公安委員会の登録を受けた登録講習機関が実施している講習を受け、修了考査に合格することで学科・実技試験が免除されます。このことにより、都道府県公安委員会に申請するのみで資格の取得を行えます。講習を受ける際には、警備会社を通じて申し込むという流れが一般的です。
また、現役警備員ではない方が交通誘導警備資格を取得しようとする際には、「警備員になろうとする者の講習」を受講して修了考査に合格することで資格が取得できます。また、別の方法として現役の警備員ではない場合も都道府県公安委員会が実施している「直接検定」に合格することで交通誘導警備資格を取得することができます。
交通誘導経緯資格の難易度は、どのような形で資格を取得するかによっても異なります。
まず、特別講習を受講する場合にはおよそ60〜80%の合格率であるとされています。また、講習を受けずに直接検定を受ける場合には、難易度が高くなり合格率は20〜40%といわれています。これは、学科試験が難しいことに加えて実技試験でも厳しく採点されるためです。
また、交通誘導員の仕事をする上で給料面が気になっている方も多いことでしょう。そこで、ここでは交通誘導員の給料についてまとめています。正社員やバイト、派遣社員の場合の給料や地域ごとの給料の差、また賞与に関する点について見ていきましょう。
正社員として交通誘導の仕事をしている場合の平均年収はおよそ326万円です。この額は、日本の平均年収と比較した場合には低い傾向となっています。また、アルバイトの平均時給は974円、派遣社員の平均時給は1,258円です。
ちなみに、正社員の場合の平均年収を月給として加算すると27万円となります。また、初任給は20万円程度が相場という傾向があるようです。
また、正社員の場合には警備会社によっては階級制度を設けている会社も。同じ勤務形態でも管理職や隊長警備など階級が上がるほどに年収が上がっていく、というケースもあります。
交通誘導員の給料を地域別に見てみると、地域によって差があることがわかります。中でも最も平均年収が高いのが関東エリアとなっており、年収は326万円、アルバイトの時給は1027円が平均です。各地域の平均年収とアルバイトの時給について見てみましょう。
都道府県別に見た場合には、最も年収が高いのが神奈川県の345万円となっています。その反面、最も低いのが青森県で230万円となっており、その差は115万円とかなり大きな差があるといえるでしょう。
賞与があるかどうかは会社によって異なる部分があります。もちろん賞与が支給される会社もあればそうではない会社もあります。しかし、近年では交通警備員の求人を見てみると「賞与あり」との記載がある会社も多く見られます。
そのため、交通警備員の仕事をこれから探す腕は、賞与があるかないか、といった部分についても合わせて確認しておくとよいでしょう。
交通誘導員の仕事をする上で、「年齢」は関係あるのか気になっている方もいるかもしれません。そこでここでは、交通誘導員の平均年齢や年齢によって行う仕事に差は出てくるのか、また年齢に関する注意点について紹介していきます。もし、比較的高齢の方で交通誘導員の仕事を始めたいと思っている方など、年齢について疑問点がある方はぜひチェックしてみてください。
まず、交通誘導員はどれくらいの年齢の人が働いているのか、という点について見ていきましょう。「賃金構造基本統計調査」によると、警備員の平均年齢は49.5歳となっており、他の業種と比べるとかなり高い平均年齢となっている傾向があります。特に、警備業界においては60代以上の方の割合が30%を占めるといったように、高齢と呼ばれる年齢の方が多く働いている、という点も警備業界の特徴といえるでしょう。
また、警備業界の特徴としてあげられるのが年齢は年収と比較しない、という点。どの年代においても年収にあまり差がないという傾向があります。これは、警備業界が人手不足ということもあり比較的年齢の高い方でも積極的に採用を行っているという点も関係しているといえるのではないでしょうか。
交通誘導員など警備という仕事においては、年齢によってはあまり差がないといえるでしょう。ただし、交通誘導員の仕事は基本的には屋外での立ち仕事が多いという点が大きな特徴といえます。そのためある程度の体力が必要となってきますが、裏を返せば体力があれば他の年代の方と同様に仕事ができる、ということ。そのため、基本的には必要な体力さえあれば他の年代の人と同様に仕事ができるともいえるでしょう。
また、高齢者が交通整備の仕事をしておく上で念頭においておきたいのが、警備の仕事は特別な技能は求められず未経験でも始めやすいとはいえ、決して楽な仕事ではない、ということです。また、交通警備の仕事は夏や冬も基本的には屋外で仕事をすることになるため、暑さや寒さにも強い体づくりも必要となります。
上記の通り、基本的には警備の仕事には年齢は関係ないといえますが、1つだけ例外があります。それは、18歳未満の場合。警備業法において、18歳未満の方の場合には警備員として働くことができないと定められています。もちろん18歳未満の場合にはアルバイトとしても働くことはできませんので、交通警備員の仕事をしたいという場合には18歳になるのを待つ必要があります。
交通整理の仕事内容や法的な扱いについて見てみましょう。
交通整理を行っている人は、警察官か交通巡視員です。警察官については身近な存在なので、説明は不要でしょう。逆に交通巡視員については、なじみの少ない方が多いかもしれません。
交通巡視員とは、道路交通法に定められた警察職員の一種。警察職員とは言っても、警察官とは異なり、交通関係の範囲に限られた職務権限を持つ公務員を言います。
なお近年では、交通巡視員を警察官に統合し、事実上、交通巡視員を廃止した警察本部も少なくありません。
信号機が動かなくなってしまった現場、または、信号機に従うべきではない現場で交通整理を行います。
具体的には、自然災害の影響などで停電が発生して信号機が機能しなくなった場所や、事件や事故などが発生して一時的に信号機に従うべきではない場所などです。
交差点の真ん中などの見通しの良いところに立ち、信号機に代わって手信号で車両に合図を出します。
ドライバーから見たとき、警察官が正面(または背面)を向けて両手を道路に平行に上げていれば、赤信号です。同じ手信号を警察官の側面から見ているドライバーにとっては、青信号となります。
また、ドライバーから見たとき、警察官が正面(または背面)を向けて両手を垂直に上げているときも、赤信号です。同じ手信号を警察官の側面から見ているドライバーにとっては、黄信号となります。
交通整理には法的な拘束力があります。そのため、仮に信号機の合図と手信号との合図が異なっていたとき、手信号ではなく信号機の合図にしたがって通行すると、道路交通法違反(信号無視)になる可能性があると言われています。
賞与は年3回(※1)!
離職率16.6%(※2)の警備会社
交通誘導員の仕事内容をよりリアルに伝えるため、今回交通誘導員の仕事を扱っている会社「アクティサポート」に監修していただきました。アクティサポートは、交通誘導員の仕事を扱う会社の中でも、16.6%(※2)と離職率が低く、賞与も年3回(※1)出すなど、働きやすさや待遇の良さが特徴の会社。交通誘導員の仕事のリアルについて、詳しくお話しをお聞きした内容をサイト内でたっぷりご紹介していきます。